上関原発 最新情報

山口県熊毛郡上関町(かみのせきちょう)に中国電力が計画中の上関原子力発電所に関する最新情報を紹介。現地の状況、ニュース、新聞記事、イベント、裁判、募集案内などをまとめ、マスメディアでは広く報道されない事実を全国の皆さんにお届けします。(当ブログ記事は上関町周辺に住む複数の有志記者によって正確を期して作成しています。リンクや記事引用はフリー、写真は無償提供も可能ですのでご相談下さい。お問い合わせはnew.kaminosekiアットマークgmail.comまで。

埋立めぐる攻防 原発予定地の長島沖に移る



 11月4日、中国電力は上関原発計画の取水口予定地沖と、本体予定地の沖の2カ所で、浚渫(しゅんせつ)などに向けて海底地形を調べる「深浅測量」を開始したようです。

 11月5日午前8時過ぎには、中国電力は取水口予定地付近で、音波調査船で海底地形や水深を調べる作業を始めようとしたようです。しかし、原発に反対する祝島の漁船約15隻も現地に訪れて抗議し、両者によるやりとりが4時間余り続いた後、中電は午後2時過ぎに作業を断念したようです。
 この海域は、祝島の漁業者が昔から漁を行っている好漁場とされ、この日もヤズ(ハマチの若魚)などを釣ったようです。中電や工事関係者らは、安全性確保などを理由に「海面埋め立て予定の作業区域だから退去して下さい」などと要請したようですが、祝島の漁業者らは操業の自由を主張しており、「操業の権利があるのにおかしな話だ」などと話しているようです。



 11月6日には、中国電力側のしゅんせつ船4隻が上関原発予定地周辺に現れ、取水口沖、放水口沖、本体用地沖で同時に作業を進めるなど、海面埋め立て工事が本格化しつつあるようです。しかし、この日も祝島の漁船やシーカヤッカーなどが抗議活動を行い、コンクリートブロック10個を設置する作業などが行えなかったようです。

 中国電力が上関原発予定地周辺での作業を本格的に開始したことにより、平生町の田名埠頭(ブイや汚濁防止膜が置かれている)で2ヶ月近くに渡って続けられた阻止行動は、上関町の長島沖へと移ることになり、新たな局面を迎えることになりそうです。これにより、現地へのアクセスは直線距離にして約13km、車で約1時間ほど遠くなります。原発本体予定地(田ノ浦)は、上関町の町道や里道(赤線)が通っているので誰でも行くことができますが、取水口予定地と排水口予定地は陸上からは近づけない場所にあります。(上関原発を建てさせない祝島島民の会HP掲載のパンフレット参照)



 一方、長島の上関原発予定地の東側に隣接する山林では、反対派住民による監視小屋の建設が始まったようです。建設地は祝島の住民などが所有する共有地で、原子炉予定地から約250mの距離の高台にあり、反対派が所有する既存のログハウス(通称:団結小屋)よりも原発予定地の中心部に近い場所に位置します。中国電力の動きを監視したり、宿泊などに利用する予定のようです。

●毎日新聞(09.11.07)上関原発建設計画:新たな監視小屋建設 反対派の阻止行動、建設予定地で続行

工事妨害禁止申請で初の審尋 住民側が却下求め反論



 11月2日、中国電力が田名埠頭での阻止行動に参加した祝島住民38人とシーカヤッカー1人に対し、上関原発予定海域での埋立工事の妨害禁止を求めた仮処分申請(10月9日申請)で、第1回審尋が山口地裁岩国支部(大島雅弘裁判官)で行われました。住民側は阻止行動に漁船で参加した4人とカヤックで参加した1人が出席し、申し立ての却下を求める答弁書を提出して、全面的に争う姿勢を示したようです。
 答弁書で住民側は、中電が主張する埋め立て権利は「山口地裁で公有水面埋め立て免許取り消しを求める裁判を係争中で、浮動的なものでしかない」と主張、田名埠頭での阻止行動については「祝島漁民の漁業操業に危険が及ぶので防衛行為をしているに過ぎない」などとし、田名埠頭での阻止行動と原発予定地の長島沖は「区別が別個」で「田名での積み出し作業に関するやりとりを理由に本件仮処分について保全の必要性を認めることはできない」と指摘、妨害予防請求権には「争う」と反論したようです。
 一方の中電側は、田名埠頭での阻止行動を示す写真や書類など十数点の証拠を提示し、現在の証拠書類による早期決定を求めたようです。今回の審尋では両者が基本的な主張を述べただけで、住民側は16日までに反論を岩国支部に書面で提出し、第2回の審尋は11月25日午後4時45分から開かれる予定のようです。

 なお、中国電力によるこの仮処分申請について、県内の母親らでつくる市民グループ「未来につながる生命(いのち)を育てる会」が、申請の却下を求める山口地裁岩国支部宛の署名を呼びかけているようです。嘆願趣旨によると、祝島の人々は「漁業補償金を受け取らない姿勢を貫いてきたことからも、原子力発電所を望まず、漁業で生計を立てたいと、はっきりと意思表示をしている」とした上で、自身の生活を守るための行為は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」であるとし、39人への仮処分申請の却下を訴えています。署名用紙には個人用団体・店用の用紙があり、11月20日までに同会の世話人に郵送する形で集約されるようです。

1120嘆願署名用紙

 また、11月2日の工事妨害禁止申請の審尋の後には、今年5月18日に中国電力が「上関原発を建てさせない祝島島民の会」に対し、上関原発予定地そばの共有地に監視小屋を建てさせないように求めた仮処分申請の審尋も続いて行われ、中電側は「住民が同意なく小屋を建てることは違法」などと改めて主張したようです。審尋はこの日で終了し、さらに主張がある場合は11月末までに書面で提出して処分が決定するようです。

●山口新聞(09.11.03)上関原発工事妨害禁止申請 初の審尋、平行線
●毎日新聞(09.11.03)上関原発建設計画:妨害禁止仮処分審尋 反対派、却下求める−−地裁岩国支部

中電 早朝にまたも“こっそり”ブイ運んで設置完了

1029田ノ浦ブイ
上関原発予定地の長島・田ノ浦沖に設置されたブイ

 10月29日早朝、中国電力は上関原発予定地の埋立工事区域を示すブイ(灯浮標)7基を、抗議活動が続く田名埠頭とは別の場所からひそかに運び、7隻の台船を使って30分程度で設置したようです。中電は搬出場所について公開できないとしているようです。これで10月8日に設置した2基と合わせて計9基のブイ設置が完了したことになり、今後は取水口付近の海底の浚渫(しゅんせつ)工事や、陸上の地盤改良工事などに取りかかるようです。

 上関原発予定地の対岸の祝島住民らによると、29日午前5時半ごろ、ブイ設置海域付近に小さな光が動いているのを見つけ、不審に思って漁船で向かったところ、暗闇の中で台船7基がそれぞれ1基ずつブイを海面に設置している最中で、祝島の漁船が近づくとパッと明かりをつけて散り散りに引き揚げていったそうです。
 こうした「暗闇の中で灯もつけずに作業を行った」という情報に対して、中電上関原発準備事務所の村田総務・広報部長は、「それはない。6時過ぎに周辺が明るくなって作業に取りかかった。安全かつ確実な方法ということでこのような方法をとった」などと述べており、両者の発言に食い違いが生じているようです。「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の山戸代表はこれについて、「現実に祝島の島民が見に行っているし、定期船が通ったのも6時過ぎだから、(中電が言っていることは)明らかに嘘だと分かる」と述べているようです。中国電力は当初、ブイ設置作業は原則として日の出(6時半ごろ)から日没の間に行うと説明していました。

 10月8日のブイ設置に続き、またしても田名埠頭での抗議活動を欺くかのような今回の手法に、反対派住民らは反感を強めており、「中電はいつもだまし討ちのようなことをやる」「中電の言うことは信用してない」といった批判が飛び交っているようです。山戸代表は、「ブイの設置はまだスタートラインに立つということぐらい。今から長い戦いが続けられていく」などと述べているようです。また、設置された7基のブイの中には簡易的なものもあるらしく、田名埠頭に置いてあるものと置き換える可能性もあるとして、今後も田名埠頭での抗議活動は継続されるようです。

 今回のブイ設置について、二井関成山口県知事は、「いずれにしても私の方は埋め立てについての免許を出しているから、住民の皆さんに理解してもらいながら進めていただきたい」などと述べ、柏原重海上関町長は「町としては安全に配慮してやってほしいと伝えていた。エネルギー開発のためというより、高齢化が進む町の現実を考え、税収を増やしたいという願いからだ」などとコメントしているようです。



 また、10月30日に広島市の中国電力本社で行れた9月中間決算の記者会見で、山下隆社長は今回のブイ設置作業について、「経営判断で安全確実に進めていく前提で決断した」「私どもの努力不足もあったが、やはり今の祝島の皆さんの理解をもう少し促進する方法を考えなければならない。今のままでいいとは決して思っていない」などと述べたそうです。その祝島住民らを相手に埋立作業の妨害禁止を求める仮処分申請を行っていることについては、「無用な摩擦を避けるため仮処分の申請を行った。誤解を受ける部分もあるかもしれないが、心を尽くして説明していきたい」などと述べたようです。
 一方、原子炉設置許可申請のために行っていた追加の断層調査について、9月9日に終えた地質調査データの解析を急ピッチで進めており、これについて山下社長は「目新しい活断層はない」として、早期に原子炉設置許可申請を目指したいとの考えを示したようです。

●毎日新聞(09.10.30)上関原発建設計画:中電が残るブイ7基設置 埋め立て工事本格化へ
●朝日新聞(09.10.30)反対派、監視を強化/上関
●中国新聞(09.10.30)中電、原発建設ブイ設置終了

環境副大臣に社民議員らが原発予定地の環境保護を要望

 10月28日、社民党の脱原発プロジェクトチーム事務局長・近藤正道参議院議員は、民主党の田島一成環境副大臣と会談し、上関原発予定海域の環境保護などを求めたようです。会談には、自然保護の観点から原発計画に反対の立場をとる日本生態学会や日本鳥学会、日本ベントス(底生生物)学会、貝類保全研究会、長島の自然を守る会の専門家や代表者が同席し、建設予定地にすむ絶滅危惧種カンムリウミスズメの写真などを副大臣に寄贈、生物多様性を保護するために環境アセスメントのやり直しなどを求めたようです。

 これに対し田島環境副大臣は、「環境影響評価(アセスメント)の手続きをさかのぼることは今の段階では難しい」としつつも、「学会の要望に応えてこなかった環境省や中国電力の態度に憤りさえ覚える」などと述べ、「手続きとは別に前向きに調べ、何ができるか検討したい」などと述べたそうです。
 なお、田島一成環境副大臣は、民主党が野党だった09年4月に、衆議院環境委員会で上関原発計画について質問しており、当時は「埋め立てをできる限りしない地域と定める瀬戸内海環境保全特別措置法の精神と真っ向からぶつかり合うような事業計画であり、事業の検証が十分になされるべきではないか」などと述べていました。
 一方の近藤参議院議員は09年10月12日に上関原発計画の抗議活動が続く田名埠頭を現地視察した上で、中国電力に埋め立て工事の一時中止を求める要請書を手渡しており、社民党の福島瑞穂党首も10月21日の定例記者会見で上関原発は「建設すべきではない」と述べ、地震や事故に対する安全性や、数十万年の保管が必要とされる放射性廃棄物の問題が未解決であることなどから、原発には「極めて大きな問題がある」と指摘していました。

 会談後、長島の自然を守る会代表の高島代表は「熱心に聞いてくれて心強かった。新しい政権になって希望の芽が出てきた」などとコメントしたようです。また、近藤議員らは天然記念物を所轄する文部科学省に対しても、国の天然記念物に指定されているカンムリウミスズメの保護を要請し、文科省の担当者は「再検討したい」などと述べたそうです。カンムリウミスズメは、創立75年を迎えた「財団法人 日本野鳥の会」でも海洋環境保全のシンボルとして選出されており、保護活動が近年いっそう高まっているようです。



●朝日新聞(09.10.28)民主副大臣・社民議員 上関原発めぐり会談
●毎日新聞(09.10.29)上関原発建設計画:社民・近藤氏「環境保護優先」副環境相に見直し訴え
●朝日新聞(09.10.21)上関原発に反対 社民・福島党首

1028クレーンのみ

 一方、埋め立て工事に使うブイ搬出の阻止行動が続く山口県平生町の田名埠頭では、10月28日午前10時頃、中国電力側のクレーン台船が3週間ぶりに田名埠頭を訪れ、ブイ搬出を試みましたが、反対派の祝島の漁船やシーカヤックに阻まれ、約1時間後に作業をあきらめ引き揚げていきました。
 これまでは業者のクレーン台船には必ず中国電力の警戒船が同行していましたが、今回は中国電力の船の姿はなく、初めて業者だけで訪れたようです。これについて中国電力は、「さまざまな方策のひとつとして試みた。今後も理解を得る努力を続ける」などとコメントしたようです。

●中国新聞(09.10.29)中電が3週間ぶり台船派遣
●毎日新聞(09.10.29)上関原発建設計画:台船進入、漁船が阻止 田名埠頭で3週間ぶり

中電側業者 別会社敷地から埠頭に入りブイ移動

1026ブイ移動
反対派住民が抗議する中、ブイは海側(左)に移動された

 10月26日、埋立工事に使うブイが置いてある田名埠頭で、中国電力側の業者が埠頭内のブイ置き場に入り、台風対策で内陸側に寄せていたブイを、パワーショベルで海側に移動する作業を行いました。反対派住民らは、ブイが移動されるのを阻止するため道路に面した入口に10月9日から座り込みを続けていましたが、業者は正規の入口ではなく、隣接する別会社の敷地を経由して裏口からブイ置き場に入ったようです。

1026警備員
無言でプラカードを掲げる警備員ら。

 ブイ置き場周辺には「侵入禁止」「立入禁止」などと書かれたプラカードを持った警備員約15人が配備され、反対派住民らが敷地内に立ち入ることを制止しました。反対派住民らは拡声器などを使って「強引な作業はやめて下さい」などとフェンス越しに抗議しましたが、警備員や作業員は作業は淡々と進め、9基すべてのブイが海側に移動されました。

1026出口封鎖
作業を終えて帰ろうとした作業員らの車が出るのを阻止する住民ら。

 意表をついた業者の手法に対し、反対派住民らは「やり方が汚い」と憤慨。作業終了後、再び隣接する別会社の敷地を経由して車で帰ろうとした作業員に対し、反対派住民らは別会社入口に立ちふさがってこれを阻止しました。作業員らは反対派住民に「作業が終わったので帰らせて下さい」「迷惑かかりますので開けて下さい」「私たちは請け負いでやってますから」などと述べましたが、住民らは強く反発し、「卑怯なやり方をする会社の言うことが聞けるか」「中電の責任者を連れてこい」「私たちも生活がかかっている」などと抗議しました。
 こうしたやりとりが約6時間に渡って続き、作業会社の社長が現地に訪れて話し合いをするなどして、解散したようです。

●中国新聞(09.10.27)中電がブイを移動 上関原発
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