上関原発 最新情報

山口県熊毛郡上関町(かみのせきちょう)に中国電力が計画中の上関原子力発電所に関する最新情報を紹介。現地の状況、ニュース、新聞記事、イベント、裁判、募集案内などをまとめ、マスメディアでは広く報道されない事実を全国の皆さんにお届けします。(当ブログ記事は上関町周辺に住む複数の有志記者によって正確を期して作成しています。リンクや記事引用はフリー、写真は無償提供も可能ですのでご相談下さい。お問い合わせはnew.kaminosekiアットマークgmail.comまで。

若者グループ「若衆の会」が工事中止申し入れ 県は受け取り拒否



 11月10日、39歳以下の山口県在住や出身の若者でつくるグループ「上関原発を考える山口若衆(わかいし)の会」の11名が山口県庁を訪れ、二井関成知事宛に、上関原発計画について若い人たちの意見を聞く場をつくることや、地元の合意が得られるまで埋め立て工事を一時中止することを申し入れ、要望書(下記参照)を提出しました。しかし山口県側は、正式な申し入れとしては受け付けないとしているようです。

 若衆の会は、上関原発ができれば「僕たちの世代が影響を一番受ける」とし、会員を39歳以下に設定している理由として、上関原発計画が浮上した1982年当時に意思表示が難しい小学生以下であったことや、放射能漏れ事故が起きた場合に服用するヨウ素剤の対象年齢が39歳以下であることを説明、これまでに140人の賛同者を得ているようです。
 要望書では、上関原発計画に対して様々な反対意見が出ているにもかかわらず、山口県は責任を国や事業者に押し付けていることに「失望している」とし、理解を得ぬまま強引に埋め立てるのではなく、地元の理解を踏み込んで求めるよう県に中国電力を指導することも求めています。

 共同代表の上田直樹氏らは記者会見で、「予定地周辺の自然は素晴らしい。経済優先の考えではなく、自然や文化を守っていきたい」「本当は上関原発のことが気になっている人も多く、その声を拾ってつなげていきたい」などと話し、今後も国や中国電力にも申し入れを行いたいとし、賛同者を募集しているようです。

 また、今回の申し入れの経緯について、「佐々木明美県議を通して県に申し入れを行おうとしたが、県に全面的に拒否された。理由を尋ねても『理由は佐々木県議に話してある』としか答えてもらえなかった」と話し、10日午前に県庁の商政課に直接訪ねて交渉し、「正式な申し入れとしては受け付けない」「代表者2名だけ」という条件で、直接会って要望書を手渡す場を得たと説明しました。

●毎日新聞(09.11.11)上関原発建設計画:知事に若い世代、意見を聞く場を−−考える山口若衆の会
●上関原発を考える山口若衆の会「虹いろHearts」(09.11.12)上関原発を考える山口若衆(わかいし)の会 記者会見 09.11.10 山口県庁


要望書

山口県知事 二井関成様

上関原発を考える山口若衆(わかいし)の会

 山口県民を代表する二井関成知事にとても大切なお願いがあります。
 知事は2008年10月21日に上関原発計画における公有水面埋め立てについて、「地元の総意があった」と判断し、中国電力に対して許可しました。

 しかし、2008年9月10日に地元上関町の住民である祝島の人たちが、集めた署名や意見を知事に直接聞いて欲しいと山口県庁を訪れた際、『祝島の人たちと直接話を聞くつもりはない』と、会うことはありませんでした。
 その後、2009年10月に『上関町の原発建設計画中止を求める署名』が61万2000筆集まり日本中が山口県の判断に注目しています。県内外問わず埋め立てを中止してほしいという様々な団体が山口県庁へ申し入れに訪れています。
 にもかかわらず、「山口県に責任はない」と再三に渡り責任を国や事業者に押し付けています。

 そんな姿を見ていて、わたしたちは、失望しています。

 このまま埋め立てがなされ、原子力発電所が建設されれば、わたしたちの世代が大きな負担を背負う事になります。原子力発電所は発電時に二酸化炭素を排出しないエネルギーで温暖化防止に貢献すると言われていますが、原子力発電所から排出される温排水は温度が上昇した海水域を作り出し、生態系に影響を与えます。また、取水する海水には塩素処理が施され、稚魚やプランクトンの大半が死滅するという電力会社のデータもあります。 さらに、核廃棄物の最終的な処理方法や、処分地はいまだに決まっていません。
 『住みよさ日本一』『しっかり聞いて』というキャッチフレーズを山口県としてあげるのならば、自分達に都合のいい『地元』の声だけではなく、わたしたち若い世代の意見もしっかり聞いてください。そして、その上で正しい判断をしてください。公有水面埋め立ての許可を出した責任から逃げないでいただきたいのです。「地元の総意」はこの間、9月10日以降、田名埠頭で行われてきた阻止行動をみてもお解りのように取れておりません。そのことは報道やインターネットの発信によって多くの人々の知ることとなりました。実際、多くの住民が埋め立てに合意していないのです。理解を得ないまま、強引に埋め立てを行うことは地域全体に禍根を残すことになります。免許を出した主体として、強引な埋め立てを行わないように、地元の理解を今一度踏み込んで求めるように指導をお願いします。対話もなく理解を求める具体的な行動もないまま中国電力は埋め立てを強行しようとしているのです。
 わたしたちは、いつか必ず死にます。けれど、命の繋がりはずっとこれからも続いていきます。未来をつくるのは今を生きるわたしたちです。お互いに手を取り合いながら、未来に繋がる命の為に正しい判断してください。お願いします。

< 要 望 >

●上関原子力発電所建設計画に対して意見を言えなかったにもかかわらず、最も影響を受けるわたしたち若い世代の意見を聞く機会を作ってください。
●地元住民が十分に理解できる対話の場を設定するように自治体として努力をしてください。反対意見を踏みにじって埋め立てを強行するのではなく、合意を作り出すまで埋め立てを一時中止してください。
以上

2009年11月10日

「上関原発を考える山口若衆の会」呼びかけ人
上田直樹 27歳 山口県在住
山本裕美 29歳 山口県在住

カヤッカーが作業員に取り押さえられ負傷 現場は危険な状況に

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田ノ浦沖で埋立工事に取りかかる作業台船と抗議する祝島漁船など。背景は祝島。

 11月7日、予定地沖で埋立工事に試みる中国電力は、反対派の妨害を防ぐために、推進派の漁船約10隻をロープで結んで台船の周囲を取り囲み、ブイやコンクリートブロックを設置する作業を行ったようです。これに対し、祝島漁船や有志のシーカヤック隊が作業船に接近して抗議活動を行いましたが、中電側は漁船の頭越しにクレーンを回転させ、ブロックを海に落とす作業などを行ったようです。また、クレーンのワイヤーにつかまって抗議するシーカヤッカーに対し、ワイヤーを沈めてカヤックを横転させたり、シーカヤッカーをそのままクレーンで台船上に吊り上げるシーンもあったようです。

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クレーンのワイヤーに掴まっていたカヤッカーがそのまま吊り上げられた。Photo by Masayuki Tojo

 こうした危険な状況に対し、祝島の漁業者が海上保安庁に連絡を入れたようですが、海保の船が現場に来ることはなかったようです。上関原発予定地周辺の海域は、集落や車道がない長島の先端部に位置し、陸上からは近づきにくく、人目につかない場所であるため、マスコミもほとんど訪れていないようです。

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巨大な浚渫船に祝島の漁船が横付けして抗議する。Photo by Masayuki Tojo

 11月8日も、中電側は作業台船の周囲を推進派漁船でしっかりと取り囲む格好で、投錨(とうびょう)禁止区域を示すブイの設置作業などに取りかかったようです。これに対し、祝島漁船約20隻とシーカヤック約8隻が抗議しましたが、推進派の漁業者や作業員は、フックがついた竹竿でシーカヤックを突いたり引っぱるなどして、抗議活動を阻止する場面もあったようです。

 そして午前8時前後、田ノ浦沖でのブイ設置作業に抗議するため、作業台船と推進派漁船の間に入っていた20代の男性シーカヤッカーが、転覆しそうになって海に飛び込み、台船のワイヤーにしがみついたところ、推進派漁船にいた漁業者や作業員4人に腕や服をつかまれ、羽交い締めにされた形で漁船上に引き上げられたそうです。男性はそのまま漁船上で3、4人がかりで取り押さえられ、両手を後ろ手にされ、首を絞めるようにして押さえられたらしく、息ができなくなって一時的に意識が遠のいたようです。

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推進派漁船上で作業員や漁業者らに押さえつけられるシーカヤッカー。Photo by Masayuki Tojo

 ブイの設置作業を行った数分後、事態に気づいた別のカヤッカーが助けに入り、男性カヤッカーは祝島漁船に乗せられて平生町の田名埠頭に運ばれたようです。男性は海水を飲み込んでいたらしく、現地に駆けつけた医師の診察で、意識レベルの低下と誤嚥(ごえん)性肺炎の疑いがあったため、救急車で柳井市の総合病院に搬送されました。病院では発熱や咳(せき)が認められ、低体温症の症状があったためそのまま入院となり、その後、頸部捻挫などと診断されたようです。9月10日から続く一連の抗議活動で、初めての負傷事故となりました。

 この事故に対し、中国電力側は「男性がワイヤーにしがみつき、危険な状況となったため引き上げた」「男性が再び海中に飛び込もうとして暴れたので制止した」「作業が完了するまでの数分間、やむなく制止した」などと話しているようです。また、現地にはマスコミや海上保安庁がいなかったため、当日の報道は十分な情報が行き届いておらず、KRY山口放送のニュースでは「海に落ちたので救助した」という作業員のコメントが放送され、tysテレビ山口のニュースでは「男性は漁船と台船の間にはさまれ、波を避けるため自分で海に入った」という目撃者のコメントが放送されたようです。
 なおこの日、海上保安庁は祝島漁業者からの通報で現地に訪れ、作業員や推進派漁業者に事情聴取を行いましたが、反対派の祝島の漁業者やシーカヤッカーへの事情聴取は、要望があったにもかかわらず行わなかったようです。



 11月13日、こうした危険な状況に対し「上関原発を建てさせない祝島島民の会」の約50人が山口県庁を訪れ、8日に起きたカヤッカー負傷のシーンを収めたビデオ映像を放映するなどして、「危険な作業の続く埋め立て準備作業は直ちに中止させて下さい」と、二井知事宛の申し入れ文書を提出したようです。
 これに対し、山口県商工労働部の鶴岡則道理事は、中電側の報告である「警告を無視して海に飛び込んだ男性を、事故を避けるために海中から引き上げ、再び海に飛び込もうとして暴れたため作業員が制止した」という内容を説明し、「どちらが正しいか分からない」。その腕、映像を見た感想として、「ああいう行動を取るのはあまりに無謀。事業者側も安全確保が前提だが、反対運動をするにもある程度ルールの中で行動して頂きたい」「意見を訴えていくにはそれなりの方法がある」と、シーカヤッカーの行為を疑問視するコメントを述べたようです。
 祝島島民側は、「意見を聞いてもらえないから行動に出るしかない。埋め立てが進めば生活を奪われる」「中国電力の言い分がルールなのか」「(埋め立て免許を出した)県はどう責任を取るのか」などと激しく抗議したようです。

 祝島住民はこれまで何度も県庁を訪れ、上関原発計画の反対を二井知事宛に訴えてきましたが、二井知事は祝島住民と直接会おうとはせず、祝島現地へも訪れたことはないようです。また、今回負傷したシーカヤックの男性も、「上関原発を考える広島20代の会」として10月14日に山口県庁を訪れており、埋立工事を中止するよう山口県に申し入れていますが、山口県側は要望書の受け取りをしぶり、返答の拒否を表明するなど、反対意見にまともに取り合おうとしていないのが現状のようです。原発への意見を訴えるための「ルール」は、どこにあるのでしょうか。

●祝島島民の会blog(09.11.11)11月7日から8日の上関原発建設予定地の海上での状況について
●毎日新聞(09.11.10)上関原発建設計画:予定地でトラブル 工事阻止の男性が入院
●朝日新聞(09.11.10)反対派男性、海に飛び込む/上関原発
●毎日新聞(09.11.11)上関原発建設計画:反対派、実力行使強める 作業台船で座り込み
●毎日新聞(09.11.12)上関原発建設計画:「現場は危険な状況」 反対団体、映像公開し訴え
●毎日新聞(09.11.14)上関原発建設計画:県「阻止行動、少し無謀」 工事中止要請の住民反発
●中国新聞(09.11.14)「作業危険」中止を 上関

BE-PAL、クーヨンなど4雑誌で上関原発の記事

 10月から11月にかけて発売された4つの雑誌で、上関原発問題の記事が掲載されました。9月10日から始まった埋立着工に対する阻止行動は、県内のテレビ・新聞は連日大きく取り上げており、雑誌では10月20日発売の『DAYS JAPAN』が14ページ特集を組んだのをはじめ、多くのメディアが取り上げ始めているようです。
 しかし、電力会社が主要スポンサーに入っているテレビ局、新聞社、あるいは出版社では、原発問題の報道は依然タブー視されており、全国報道は未だにほとんどないようです。

ビーパル12

 11月10日に発売されたアウトドア雑誌『BE-PAL12月号(小学館発行)では、「The tree house」というニュース記事コーナー(p.104)で、「公共事業問題はダムだけじゃない! 瀬戸内の海を守る漁師とシーカヤッカー」という見出しで、上関原発の田名埠頭での抗議活動や、原発建設による瀬戸内海の環境破壊問題を紹介。田ノ浦とシーカヤックの写真が掲載され、民主党の政策と照らし合わせながら、未来に残すべき環境とエネルギー政策を考えようと呼びかけています。

クーヨン12

 11月1日に発売された育児雑誌『クーヨン12月号(クレヨンハウス発行)では、「Change the World 世界を変えるツールを手に入れるために」というコーナー(p.60)で、「原発建設予定地に暮らすひとの声を聞かない電力会社」という見出しで、祝島の山戸孝氏のインタビュー記事を掲載。原発予定地対岸で27年間反対運動を続けて来た現地の状況が紹介され、反対運動を祝島の人たちだけに担わせておいてはいけない、と締めくくられています。

自然と人間11

 11月1日に発売された報道雑誌『月刊 自然と人間11月号(自然と人間社発行)では、「上関原発に抵抗をやめない 祝島住民の執念」という見出しの4ページ記事(p.16)で、フォトジャーナリストの菊池亮介氏が、上関原発計画の経緯や問題点、祝島の反対運動などを詳しくレポート。祝島や原発予定地の写真など5点が掲載され、田名埠頭で中国電力が建設強行に乗り出したことを挙げ、原発建設の進め方を見直すべきだと問題提起されています。

週刊金曜日109

 10月9日に発売された報道雑誌『週刊金曜日770号(金曜日発行)では、「山口・祝島の27年間 上関原発計画と闘い続ける」という見出しの見開き2ページ記事(p.52)で、フォトジャーナリストの會田園氏が田名埠頭での阻止行動の様子をレポート。祝島漁船やシーカヤックが中国電力の作業船と対峙する様子など写真4点とともに、現地の緊迫した様子が紹介されています。また、読者投稿欄にも上関原発問題に関する投稿が載っています。


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埋立めぐる攻防 原発予定地の長島沖に移る



 11月4日、中国電力は上関原発計画の取水口予定地沖と、本体予定地の沖の2カ所で、浚渫(しゅんせつ)などに向けて海底地形を調べる「深浅測量」を開始したようです。

 11月5日午前8時過ぎには、中国電力は取水口予定地付近で、音波調査船で海底地形や水深を調べる作業を始めようとしたようです。しかし、原発に反対する祝島の漁船約15隻も現地に訪れて抗議し、両者によるやりとりが4時間余り続いた後、中電は午後2時過ぎに作業を断念したようです。
 この海域は、祝島の漁業者が昔から漁を行っている好漁場とされ、この日もヤズ(ハマチの若魚)などを釣ったようです。中電や工事関係者らは、安全性確保などを理由に「海面埋め立て予定の作業区域だから退去して下さい」などと要請したようですが、祝島の漁業者らは操業の自由を主張しており、「操業の権利があるのにおかしな話だ」などと話しているようです。



 11月6日には、中国電力側のしゅんせつ船4隻が上関原発予定地周辺に現れ、取水口沖、放水口沖、本体用地沖で同時に作業を進めるなど、海面埋め立て工事が本格化しつつあるようです。しかし、この日も祝島の漁船やシーカヤッカーなどが抗議活動を行い、コンクリートブロック10個を設置する作業などが行えなかったようです。

 中国電力が上関原発予定地周辺での作業を本格的に開始したことにより、平生町の田名埠頭(ブイや汚濁防止膜が置かれている)で2ヶ月近くに渡って続けられた阻止行動は、上関町の長島沖へと移ることになり、新たな局面を迎えることになりそうです。これにより、現地へのアクセスは直線距離にして約13km、車で約1時間ほど遠くなります。原発本体予定地(田ノ浦)は、上関町の町道や里道(赤線)が通っているので誰でも行くことができますが、取水口予定地と排水口予定地は陸上からは近づけない場所にあります。(上関原発を建てさせない祝島島民の会HP掲載のパンフレット参照)



 一方、長島の上関原発予定地の東側に隣接する山林では、反対派住民による監視小屋の建設が始まったようです。建設地は祝島の住民などが所有する共有地で、原子炉予定地から約250mの距離の高台にあり、反対派が所有する既存のログハウス(通称:団結小屋)よりも原発予定地の中心部に近い場所に位置します。中国電力の動きを監視したり、宿泊などに利用する予定のようです。

●毎日新聞(09.11.07)上関原発建設計画:新たな監視小屋建設 反対派の阻止行動、建設予定地で続行

工事妨害禁止申請で初の審尋 住民側が却下求め反論



 11月2日、中国電力が田名埠頭での阻止行動に参加した祝島住民38人とシーカヤッカー1人に対し、上関原発予定海域での埋立工事の妨害禁止を求めた仮処分申請(10月9日申請)で、第1回審尋が山口地裁岩国支部(大島雅弘裁判官)で行われました。住民側は阻止行動に漁船で参加した4人とカヤックで参加した1人が出席し、申し立ての却下を求める答弁書を提出して、全面的に争う姿勢を示したようです。
 答弁書で住民側は、中電が主張する埋め立て権利は「山口地裁で公有水面埋め立て免許取り消しを求める裁判を係争中で、浮動的なものでしかない」と主張、田名埠頭での阻止行動については「祝島漁民の漁業操業に危険が及ぶので防衛行為をしているに過ぎない」などとし、田名埠頭での阻止行動と原発予定地の長島沖は「区別が別個」で「田名での積み出し作業に関するやりとりを理由に本件仮処分について保全の必要性を認めることはできない」と指摘、妨害予防請求権には「争う」と反論したようです。
 一方の中電側は、田名埠頭での阻止行動を示す写真や書類など十数点の証拠を提示し、現在の証拠書類による早期決定を求めたようです。今回の審尋では両者が基本的な主張を述べただけで、住民側は16日までに反論を岩国支部に書面で提出し、第2回の審尋は11月25日午後4時45分から開かれる予定のようです。

 なお、中国電力によるこの仮処分申請について、県内の母親らでつくる市民グループ「未来につながる生命(いのち)を育てる会」が、申請の却下を求める山口地裁岩国支部宛の署名を呼びかけているようです。嘆願趣旨によると、祝島の人々は「漁業補償金を受け取らない姿勢を貫いてきたことからも、原子力発電所を望まず、漁業で生計を立てたいと、はっきりと意思表示をしている」とした上で、自身の生活を守るための行為は「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」であるとし、39人への仮処分申請の却下を訴えています。署名用紙には個人用団体・店用の用紙があり、11月20日までに同会の世話人に郵送する形で集約されるようです。

1120嘆願署名用紙

 また、11月2日の工事妨害禁止申請の審尋の後には、今年5月18日に中国電力が「上関原発を建てさせない祝島島民の会」に対し、上関原発予定地そばの共有地に監視小屋を建てさせないように求めた仮処分申請の審尋も続いて行われ、中電側は「住民が同意なく小屋を建てることは違法」などと改めて主張したようです。審尋はこの日で終了し、さらに主張がある場合は11月末までに書面で提出して処分が決定するようです。

●山口新聞(09.11.03)上関原発工事妨害禁止申請 初の審尋、平行線
●毎日新聞(09.11.03)上関原発建設計画:妨害禁止仮処分審尋 反対派、却下求める−−地裁岩国支部
上関原発問題について

 上関原発は、山口県上関町長島の田ノ浦(上写真)を埋め立てて建設予定の原発です。1982年に計画浮上して以来、賛成・反対で地元は分裂し、対岸の祝島(写真右)の住民を中心に反対運動が続けられ、計画はこれまで7度延期されています。
 周辺には小型クジラのスナメリや数々の絶滅危惧種が生息する貴重な自然が残り、埋立取消を求める裁判が係争中です。県外ではほとんど報道されないこの問題を、電力を使う全ての人に知ってほしいと思っています。

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