
6月28日、山口県光市の市民ホールで、京都大学原子炉実験所の小出裕章氏を招いた講演会「原発計画30km圏内の光市民として 〜原子炉の専門家に学ぶ原発の恩恵とリスク」が開かれ、光市民を中心に約300人が訪れたようです。市民主催の上関原発関連の講演会としてはかなり大きな規模となり、上関原発予定地の対岸8〜30kmと予定地から最も近い人口密集地である光市民の関心の高さが表れたようです。
主催したのは、光市周辺住民の有志で構成される「市民による市民のためのエネルギー講座実行委員会」で、事業者や行政から与えられる情報だけでなく、市民自らエネルギー問題を勉強して真実を知ろうと企画されたものだそうです。当日は、海や動植物の写真展示や、地場産食品や環境グッズを販売する「環境バザー」も同時開催され、中高年を中心に多くの市民が開演前から集まったようです。

講師の小出裕章氏の専門分野は、放射線測定や原子力安全。原子力の専門家でありながら、そのリスクや問題点についての研究に精力的に取り組んでいるそうです。この日の講演内容は、原子力発電の仕組みから始まり、チェルノブイリ原発事故では30km圏の住民が強制非難されられたことや、上関原発で事故が起きた場合のシミュレーション、地球温暖化防止に原発が役立つという宣伝への矛盾の指摘や、数百年以上もの管理が必要な放射性廃棄物の問題、原発がなくても日本の電気は足りることなどを具体的数値を示しながら説明し、さらにはエネルギー大量消費で自然環境を破壊し続ける人間の愚かさについても語ったようです。
訪れた満員の来場者は、17ページもの配布資料(実行委員会HPよりダウンロード可能)を手に熱心に聞き入り、大きくうなずいたり、時に驚きの声やため息も漏れたそうです。講演後には25分間の質疑応答時間が設けられ、「排水の放射性物質を取り除く装置はあるのか?」「排出された放射性物質は食品に蓄積されるのか? それを食べたらどのような影響があるのか?」といった生活者視点の質問も多く出たようです。これに対し小出氏は、「科学や技術に完璧はない。どんなに薄めても微量の放射性物質は排出される」「原発から排出される放射性ヨウ素を、大気や食べ物を通じて取り込むと、甲状腺に濃縮され被ばくする。その影響を科学的に実証するのは難しいが、ガンなどの発生が増えていくだろう」などと回答したそうです。
また、「事故がない限り排水に放射性物質が交じることはないはず。微量でも放射線が危ないというのは間違いだ。自然放射能だってある」という意見に対しては、小出氏は「排水の中に放射能が混じって出ているのは確実。政府のデータでも公表されている。放射能に安全量はない。自然放射能だって安全ではない。人間がいろいろな病気や先天的な障害を持って生まれる理由の一部分は、自然放射線で被ばくしているためだと、長い科学の歴史で分かってきた」と回答と、議論を交わす一幕もあったそうです。
講演終了後は、来場者から大きな拍手が送られ、会場内で販売された小出裕章氏の著書数十冊も完売したそうです。実行委員会によると、来場者アンケートの結果、95%の人が講演内容を「よかった」と回答し、「とても分かりやすい説明で勉強になった」「今まで疑問に思っていたことが解けた」「これから自分に何ができるか考えたい」といった感想が多数寄せられたそうです。



